本棚に必要な木材
本のサイズ
種類 | サイズ |
---|---|
菊判 | 234x159 |
A5 | 210x148 |
B6 | 182x128 |
幅,厚さ,長さ,仕上げ
- 幅は、目的とする本のサイズにも依るが、128~180程度が目安となる。面倒かもしれないが、2枚を何らかの方法で横につなげるという手もあるかもしれない。
- 厚さは、簡易的に平行部の曲げ応力と垂直部の座屈を考慮すると、S-P-F-甲種-3級の値では、15mm程度あればギリギリ大丈夫そうである。12mmだと、ちょっと地震が起きたら平行部・垂直部ともに折れ曲がりそうである。18mmあれば安心である。杉材に変えると許容応力度は上がるがヤング率が下がり、曲げ応力への耐性は上がるが、座屈への耐性が下がり、よりシビアになる。材料力学に自信がないため、間違っていたらすみません。
- 長さは、突っ張りの本棚を作る場合でも本体は2つに分けるため、配送の観点から1.8m(6F)-2m程度のものが望ましいであろう。
- 仕上げは、少なくとも上下面、できれば4面ともプレーナー仕上げしてある必要がある。荒材は加工が困難であるらしいので、避けたい。内装用に接合用の加工を施されたもの(特に本実(ほんざね)加工、相じゃくり加工)がほとんどだが、こちらも避けたい。
厚さ(材料力学)
物性値
ヤング率$E$、最大圧縮/引張/曲げ/剪断応力$σ_c, σ_t, σ_b, σ_s$、安全率を指定する必要がある。 木材にはJAS規格で定められた等級区分製材と定められていない無等級区分製材があるが、我々が一般に入手可能であるのは無等級材である。 特に政令に従う必要はないのだが、
- 許容応力度(安全率の逆数)は建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第89条に定められており、長期に生ずる力に対しては$\frac{1.1}{3}$となっている。
- 最大応力は「木材の基準強度Fc、Ft、Fb及びFsを定める件」(平成24年8月4日国土交通省告示第910号)に定められている。
- ヤング率は政令・告示で定められておらず、一般的には日本建築学会の「木質構造設計規準・同解説-許容応力度・許容耐力設計法-」(定価5280円)に記載されている基準弾性係数の数値が用いられる。1
上の表は見づらかったり有償であったりするので、木造の設計メモやICBAの第9章 許容応力度及び材料強度を見れば良いと思われる。(前者は値が正しいかは確認できていない。)
材質 | $σ_c$ | $σ_t$ | $σ_b$ | $σ_s$ | $E$ | $ρ$ |
---|---|---|---|---|---|---|
S-P-F-甲種-2級 | 17.4 | 11.4 | 21.6 | 1.8 | 9.6 | 0.50? |
すぎ(無等級) | 17.7 | 13.5 | 22.2 | 1.8 | 7.0 | 0.38? |
本の重さ
漫画の密度を求めるのは難しいが、$0.8$g/cm3とする。厚さの平均は$11$mmとするが、ジャンルに大きく依るだろう。(少年漫画等はもっと分厚くなり、A5版の四コマ漫画等はもっと薄くなるだろう。) 追記:漫画の密度は出版社等により大きく変わるようである。いくつか計測したところ、B6/178pの夢喰いメリー1巻が169g、A5/168pのゆるゆり2巻が293g、A5/118pのドージンワーク1巻は260gと、A5の芳文社の漫画は特に重めであるようである。下の計算はA5の芳文社の漫画の重量を過小評価していると思われる。
計算
よく分からないが、両脚絞端矩形ラーメンに当たると思われる。 つまり、地震等を考えない場合、普通の単純支持梁と両端ピン支持の長柱と同じとしてよいはず。(自信無し)
平行部
$$ I=\frac{bh^{3}}{12} $$ $$ R_{\mathrm{max}}=\frac{wl}{2} $$ $$ M_{\mathrm{max}}=\frac{wl^{2}}{8} $$ $$ σ_s=\frac{R}{bh} $$ $$ Z=\frac{2I}{h} $$ $$ σ_m=\frac{M_{\mathrm{max}}}{Z} $$
垂直部
$$ P_{\mathrm{cr}}=η\frac{EI}{L^{2}} $$ $$ \frac{W_{\mathrm{all}}}{2} \leq P_{\mathrm{cr}} $$ $η$は両端ピン支持の長柱では$\pi^{2}\approxeq9.8696$となるが、両端ピン支持?の自重を受ける長柱では$18.5687$となる。2 これらを使って計算すると、上述の結果になると思われる。
棚板・側板の価格一覧
材料は価格が安ければ良いため、SPF(松)か杉か合板が良さそうである。
- SPFの場合、B6では1x6、それ以外では1x8となる。(1x7材は見たことがない。)
- 杉の場合、長さは6尺(1820mm)が良いだろう。厚さは分(3mm)単位、幅は寸(30mm)単位となっているようで、体感的に3,4,(5,6,)12分(9,12,(15,18,)35)x3,4,6寸(90,120,180)が多い気がする。厚さがあまり本棚に適していないものが多い模様。中古品やプレーナー仕上げされていない材(荒材)が多いため、注意。
合板の場合、大きさは3尺x6尺(910x1820mm)となる。厚さは15,18mmが良いだろう。
楽天市場 レビュー件数順に検索した。https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E6%9D%89/100896/?s=5
- 満点木材では、欅は柱やテーブル用の高級材しか無く、楢、栗は12cmまで、桧は12cmは安いが15cmになると急に高くなる。樺(かば)は塗装品が安い。桧の75mm品は10mm厚。樺の75mm品は在庫が殆どない。
- 本実(ほんざね)加工は下図のように凸部と凹部があり、下に切欠があるが、切欠に目を瞑り、凸部(雄実,おざね)は鑿(のみ)で落とせるらしいので落として凹部(雌実,めざね)を背板で隠せば使えるかも知れない。
- 本実加工があることを逆手に取り、幅90mmの材を2つつなぎ合わせて幅180mmの本棚が作れるかもしれない。
出典:「激安 樺桜 幅広 カバザクラ オイル塗装 フローリング材床材」https://lumber.ocnk.net/product/983, 2023/08/08閲覧.
- 相じゃくり加工ならあまり気にならないかも知れない。ただし相じゃくり加工はマイナーで杉以外ではあまりない。
- コーナンでは無料トラック貸出があり、また配送を頼むと大きさに関わらず800円程度になるらしい。
- ロイヤルホームセンター:不明https://www3.roymall.jp/shop/g/grhc2-038210/
- 1台当たり8枚必要であるから、1枚1000円なら8000円かかる。
全体として18mmの杉材が入手しにくく、迷い中である。
背板
背板は合板、天井材の選択肢があると考えられる。
ショップ名 | サイズ | 価格 | 価格/1820x910mm | URL |
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コメリ | ラワン合板 4x1820x910 | 1350+NaN | 1350 | https://www.komeri.com/shop/g/g1270996 |
コメリ | ラワン合板 5.5x1820x910 | 1550+NaN | 1550 | https://www.komeri.com/shop/g/g1271005/ |
満点木材 | 杉 330x1820x7 6 | 5489 | 2744.5 | https://lumber.ocnk.net/product/540 |
三祐木材 | 桧合板 5.5x1820x910 | 1920+2000 | 1920 | https://www.sanyumokuzai.co.jp/product/%E3%80%90%E3%81%B2%E3%81%AE%E3%81%8D%E3%80%91-%E6%A7%8B%E9%80%A0%E7%94%A8%E5%90%88%E6%9D%BF%E3%80%80-%E7%AF%80%E3%81%AA%E3%81%97%E3%80%803x6%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA-%E3%80%90%EF%BC%94%E3%82%AB/ |
ニス
1台あたり8枚使うため、裏表合わせて$0.15\cdot1.82\cdot8\cdot2=4.4\mathrm{m^{2}}$必要で、ニスは2回塗りで約0.1L/m2必要であるから、440mL程度必要である。和信のニスが最もメジャーであるようだが、3000円/0.7L、9600円/4kgもする。 さらなる仕上がりを目指す場合サンディングシーラーを使うようである。こちらも1回塗りで約0.1L/m2必要で2700円/0.7L、8000円/4kgする。 したがって塗料だけで2000~5700円程度かかる。
既製品
※Amazonのリンクを踏んでも当方にお金は入りません。
本棚を販売している企業が出している動画であることに留意する必要があるが、やはり突っ張りであると安心な気がする。
ラック
ラックは事実上製造しているのが一社(OEM,台湾製?)しかないようである。OEM先を特定しようとしてAliexpressや画像検索等で大分調べたが、うまく行かなかった。 棚板をバラで売っているところも見つけられなかった。山善、菊屋等の商社が販売しているようである。 側板の網目が3マスのものは幅63cm, 78cm, 92.5cmを確認しており、4マス 最下段の板の下にも本を置けば9段になる。本棚を買うよりコストパフォーマンスが相当良いが、ラックを採用するとB6だと段あたり12kg、A5だと16kg程度かかるため、場合によっては耐荷重オーバーになる。 天井高が2.2m程度の場合A5ならこれでピッタリだが、B6の場合は1段分スペースが余ると思われる。天井高が2.4m程度の場合は、更に1段分余ることになる。 奥行き24cmがあれば、ちょっと壁面から離せばB6を二段重ねに出来、1350~1500冊程度入りそうだが、より耐荷重オーバーになる。
10840円,幅78,奥行24,8段
13400円,幅78,奥行25,8段
21,980円,幅92.5,奥行き25,10段
11,990円,幅68,奥行き34,8段
12,990円,幅88,奥行き34,8段
16000円,幅63,奥行き25,8段,部分的に背板?がある変種
17999円,幅78,奥行き25,8段,部分的に背板?がある変種
本棚
突っ張りまでいくほど高いものはほぼ山善の独壇場になっている模様……。
19911円,幅81,奥行15.5,9段
24800円,幅101,奥行15.5,9段
17392円,幅70,奥行18,10段
突っ張りを諦めると途端に安くなる。
9980円,幅89,奥行28.8,高さ180.0,8段
シューズラック
流石にシューズラックは駄目かな……
2380円
感想
ということで厚さ18mmの板で頑丈な本棚を作ろうものなら12000円かかるので、自分の人件費と比べると大して得にならず、時間がかかりすぎるので(調べるだけで何日も無駄にした……)ちょっと保留。
追記
結局YahooショッピングでTP-5405を実質7620円~で4個購入した。既存の本棚に新たに突っ張り棒を設置するのはコストが掛かり面倒でもあるため、耐震性の観点から古い本棚はこれらで順次取り替えることにした。